KAYAC DESIGNER'S BLOG

面白法人カヤック意匠部(デザイナー)による、デザインのよもやま話。

ポートフォリオを「作品集」と呼ぶのやめよう

デザインの勉強をされている学生のみなさん、こんにちは。 面白法人カヤックという会社でソーシャルゲームのUIデザイナーをしています岩瀬です。

この春大学4年生になった人、就職活動は順調ですか? デザイナーやゲームクリエイターなどのクリエイティブ職を目指すなら「ポートフォリオ」が必須ですよね。

いきなりドライなこと言っちゃうんですが、 ポートフォリオは「あなたの個性を表現する作品集」ではない ってことを今日は書いてみたいと思います。

まだポートフォリオってピンとこないな~って人は、 ぜひこれからのポートフォリオづくりの参考にしてもらえたらと思います。


ポートフォリオ=作品集という誤解

誤解を恐れずにいえば「あなたの個性を表現する作品集」ではありません。 ポートフォリオは「就職するためのツール」です。 かっこいい、おしゃれなポートフォリオをつくっても、就職できなければ本末転倒です。

そもそも「作品集」っていうのが誤解のもとだと思うんですよね… では、どんなコトバがしっくりくるかというと「説明資料」だと思うんです。 自分のやりたいこと、スキルの説明資料。 履歴書も説明資料ですが、言ってしまえばポートフォリオもある意味それと同じ「説明資料」なんですよね。

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作品というところばかりに目が行くと、 説明する、相手にわかってもらうという観点がどうしてもおろそかになってしまいます。 主語を「自分の」作品ではなく、「相手に」説明する資料にしてみてはどうでしょう? という提案です。


自分は何を職業にするのかを1つに決める

ポートフォリオづくりでいちばん大切だと思うことは、 「自分は何になりたいのか?」を自分で考えてちゃんと決められているか、だと思います。

これまでたくさんポートフォリオを拝見してきましたが、 やりたいことが明確になっている人のポートフォリオは クオリティが高く、早く就職が決まっている傾向にあります。

でもやりたい職業の具体的なイメージがわかないなって人は、企業の「求人票」をみるところから始めましょう。 大好きな企業の採用情報をみると、いろんな職業の名前がでてきますよね? (職業自体はかわらないので、新卒採用と中途採用両方チェックするのがおすすめです)

ただ、この職業の名前や、職務の領域は企業によってマチマチなので 複数の企業をみて、自分のやりたいことにぴったりハマる職業=職務内容をイメージできればOKです。 当然ながら迷うと思いますが、ここは1つに絞りましょう。 それでも絞れないなら、どれからやりたいか最優先を決めましょう。

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漠然と「ゲームクリエイター」だったものが、ゲームグラフィックを専門にしたい、
ゲームグラフィックのなかでも、ゲームの箱庭感が好きだし「背景アート」を強みにしたい、 ゆくゆくは「コンセプトアート」を提案できるアーティストになりたい。
…みたいに具体化できると思います。

これをやることでどうなるのでしょうか? 簡単に言うと、具体的な職業が決まるれば、作品のクオリティが上げられます。 なぜなら作品が作りやすくなるからです。


つくるべき作品は、現場で求められる能力から逆算できる

たとえば、「なんとなくデザイナーになりたいな」という感覚の人が 「UIデザイナー」というコトバを見つけられたなら、 企業の求人票の職務内容をじっくり読むと求められる能力としてこんな感じのことが拾えそうです。

(1)画面のデザイン(美しい画面をつくれるか)

(2)ユーザー体験のデザイン(新しい体験、新しい使い心地を提案できるか)

(3)情報整理力(情報に優劣をつけて、ユーザーを誘導できるか)

(4)情報設計能力(デザインのレギュレーション、秩序だったルールを策定できるか)

(5)デザインの提案力(1つの課題に複数のデザインを提案し、メリット/デメリットを説明して最適なデザインを提案できるか)

これがわかると、ポートフォリオで、やるべきことが見えてくるのではないでしょうか。 (ゲームグラフィッカーやアニメーションデザイナーでもやり方は同じです)

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多くの人がポートフォリオで(1)の「美しい画面デザイン」にフォーカスしがちですが、 自分のスキルをアピールするために (2)~(5)も意図的につくっていくことできると思います。

ポートフォリオの「目次」で、卒業制作、進級課題、自主制作とナンバリングしていくより UIデザイン、UXデザイン、情報整理、情報設計とテーマごとに章を配置していくという方法も有効かもしれません。


まずはここからはじめよう

まだ作品が少ないという人は、 求められる能力をヒントにしてこんなことから作品をつくってみてはいかがでしょうか。 引き続きUIデザイナーを例にしてみます。

(1)画面のデザイン

画面のデザインは、有名なアプリやゲームの画面を参考にすれば、まずは始められそうです。 画面の写経(模写)やデザインの折衷などから始めるといいですよ!

(2)ユーザー体験のデザイン

自分が使い込んでいるお気に入りのアプリ、ハマっているゲームから ここが使いにくいんだよな~という点から改善提案をしたりできますね。 デザインをユーザー視点で体験という観点で考えて、
1つの画面ではなく、画面遷移の流れをつくっていきましょう。

(3)情報整理力

情報量の多いページや画面をつくってみるとよいでしょう。 各項目を並列に扱った場合と、3段階ぐらいの優先度に分類し強弱をつけた場合を比較してみるとよいと思います。 1画面1目的と考えて、その画面でいちばん押させたいボタンは何か?を明確にしてみましょう。 例えば、人気WEBサイトのアプリ版をつくってみるとか、かな。

(4)情報設計能力

デザインレギュレーションというと難しく聞こえますが、画面パターンのことです。 1つのデザイントーンから、出現しそうな画面のパターンを洗い出して、この場合はこうなる、みたいに網羅していく作業ですね。

ボタンのパターン(サイズ、ボタンの種類、アニメーション…) 画面パターン(メイン、詳細、リスト、入力画面、メニュー…) という具合に、自分以外の人でもそのサービスをデザインできるように 先回りして素材を設計しておく、という感じです。

(5)デザインの提案力

たとえば卒業制作など大きな課題で、完成したデザインに到達するまでにいくつもデザイン案を検討しますよね。 その時に、まず直感的に1つめのデザインはできると思います。

2つめはそれと対照的なアイディアをつくりましょう。 例えばポップな画面に対して大人っぽい落ち着いた画面。シンプルな画面に対してにぎやかでワクワクする画面。

ここまでで考えつくした感があるかもしれませんが、3つめは思い切って全然違うアイディアにしましょう。 何かをバサっと捨ててみる、何かをありえないぐらい巨大にしてみる、とか。

ポイントは、単純に表面的なデザインを変えるのではなく「切り口」を変えることです。 色を変えたら雰囲気はかわりますが、表面が変わっただけで本質は同じです。 別の案にするには、「xxxx案」と文字で違いを書けるようにして考えるといいですよ。

と、いうように ポートフォリオ=作品集から脱却して、自分のやりたい職業を決められたら 相手が求めている能力がわかるので、 ポートフォリオに載せるべき作品を具体的にしていくことができます。 結果的に自分の伸ばすべきところが見えたり、自分のスキルの説明資料として 足りてないところが見つかると思います。

大学4年生のみなさん、まだまだ時間はたっぷりあると思いますので じっくり自分と向き合って将来やりたいことを考えてみてください。 自分で考えて、自分で職業を決めたという体験はずっと自分を支えてくれますよ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


できた!でも自信がないときは…

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