意匠部

面白法人カヤック デザイナーブログ

ヒキだけつくる!ハイパーカジュアルゲーム開発における、デザイナーのおいしい携わり方

こんにちは!カジュアルゲームチームのデザイナーの進藤です。 以前は、ソーシャルゲームの運用に携わっていましたが、ここ3年は様々なカジュアルゲームの開発に携わっています。

ゲーム業界におけるデザイナーの働き方は、コンシューマー・ソーシャルゲームの場合は語られる場が多くありますが カジュアルゲームにおける立ち回りは業界的には少なく、よく何をしているのか?と聞かれます。

今回は「ハイパーカジュアルゲーム開発におけるデザイナーの携わり方」を紹介させていただきます。

そもそもハイパーカジュアルゲームとは?という方は、同チームの越後が以前執筆した記事をご覧ください。

designblog.kayac.com

また今月は、現在弊社でカジュアルゲームチームに所属する3人のデザイナーの3連載を行います!今回はその第1回目となります。よろしくお願いします!

ハイパーカジュアルゲーム開発におけるデザイナーの役割

1. ゲーム内の素材全般の制作

ハイパーカジュアルゲームの開発にも、キャラクターやUIの素材が必要になりますが、基本的にはUnityAssetStore等の素材を購入し使用しています。それでは対応し切れないものはデザイナーが制作しています。 2D素材だけでなく3D素材をモデリングしたり、Unityでエフェクトを作ったり、更にレベルデザインをすることもあります。

BalloonCrusherのアイコン案やUI
BridgeWorld のアート、ステージ設計

2. 動画広告制作

ゲームプレイを収録し、AfterEffectsで編集しています。 スマホのプレイを録画するのではなく、デザイナー自身でUnityで再生し録画を行っています。 広告映えする見た目やキャラクター素材への差し替え、レベルデザイン、カメラワークなどの調整を行いながら収録する為です。

実際のゲームと大きくかけ離れた内容の広告は望ましくありませんが、いわゆるスーパープレイや、派手なプレイ、他人が見てクスッとしてしまうようなプレイを意図的に起こすために、ステージ設計を調整することが多いです。

MeltyBubble の動画広告の一部

通常のゲーム開発と違うポイント

1. 制作物のABテストが頻繁に行われる

ハイパーカジュアルゲームの開発では日々テストが行われています。ABテストとは、2つの異なるパターンを比較して、どちらがより効果的かを評価するために使用されます。ざっくりと説明すると主に以下の2種類です。

  • ゲーム自体のABテスト:ゲームのアップデートを入れ、入れなかったバージョンと比べて、プレイ時間や広告視聴回数が増えたかどうかを見る。
  • 動画広告のABテスト:動画広告を何種類か配信し、どの広告の成績が良かったか(=低単価でインストールに繋げられたか)を見る。

動画広告のABテストでの実例を挙げます。 左側は現在配信されている「RollingOrbCrash」というゲームの元型です。こちらは弊社のエンジニアが制作したものです。

これの見た目を惑星モチーフから変えたり、敵の挙動を私が変えたりしたのが右側のRollingOrbCrashです。 現在弊社で1番ダウンロードされているゲーム「BallRun2048」、2番目にダウンロードされている「NumberMaster」も、数字がモチーフです。ですので こちらのゲームも惑星ではなく、数字で強弱を明示した方がわかりやすいと思い、変更しました。 球の割れ方などは目を引く部分になっていると思ったのでそのまま受け継ぎました。

どちらも同じ予算でFacebook等の媒体を中心に配信されました。結果として右の方が、よりクリック数やインストール数を獲得できる広告となりました。 ※CPI(Cost per install)という、1インストールあたりにかかった費用を指標の1つとしています。

いつもこのように良い結果を出せるわけではありません。むしろ、頑張って作ったクリエイティブをゲーム内に追加したのに、ユーザーのプレイ時間が下がってしまった…といったことの方が多いです。それでも、何回もテストをして良いクリエイティブを生み出せた時の達成感はたまらないです。

2. 制作する物が制限されていない

通常のゲーム開発では、キャラクターであればキャラクターデザイナーが行い、UIはUIデザイナーが行う…という分業として行われますが、カジュアルチームでは通常ゲーム1本に対して1人のデザイナーが全てのデザインを担います。(場合によってはエンジニアがデザインを担います。)1つのゲームの世界観に1人でまるっと携われるのが魅力の一つだと思います。ここは同じく小規模チーム開発であることが多いインディーゲームと似た点かと思います。

3. デザイナーも積極的にUnityを扱う

通常のゲーム開発では、デザイナーが素材を作成し、エンジニアに渡してゲームに組み込むということも多いかと思います。 カジュアルチームではデザイナー自身が組み込みをしてしまうこともあります。

特に3Dモデルは、Blender等のモデリングソフト上の見え方と、Unityでの見え方が異なります。ですので、デザイナー自身がUnityでマテリアルやライティングを調整してしまうことが多いです。 ただし、素材の組み込みの速さや実装部分との整合性の高さはエンジニアの方が高いので、組み込み自体は一旦エンジニアにお願いして、Unity上での細かい調整をデザイナーが行う…という流れが適している場合もあると思っています。

4. 開発期間が短い、かけるコストが小さい

こちらはデザインに限った話ではありませんが…。 通常のゲーム開発は短くても半年、長いと何年もかけていたりします。 一方で、ハイパーカジュアルゲームは簡潔に言えば「まず手早くプロトタイプを作ってテストに出す」→「成績の良かった物のみ作り込む」スタイルです。 手の早いエンジニアだけで作れば3日間でテストに出してしまいます(2週間かけることもあります)。

良かったこと

私はカジュアルゲームチームに入るまで、Unityを全く触った事がありませんでした。興味はあったのですが、難しそうという先入観から手を出していませんでした。 チームに入ってからは、最初は素材の差し替えなど簡単な部分から行い、徐々にカメラワーク等の、ゲーム作りにおける少し複雑な部分も、エンジニアに尋ねながらできるようになりました。

更には最近ではChatGPTにガンガン質問することができるようになったため、1人で簡単なスクリプトやシェーダーを書くこともできるようになりました。 このようにゲーム作りにおけるヒキの表現の部分の制作を中心に制作を行い、表現の幅を増やすことができたのが、カジュアルゲームチームに所属していて一番良かったと思う点です。

表現に直接関係が無いゲーム開発の部分(広告表示、サーバー通信、不具合回避の為のコード修正等)はエンジニアにお任せしています(圧倒的感謝…!)。 最終的には自分1人でUnityで簡単な物ですがハイパーカジュアルゲームを作れるようになりました!チームに入る前の私だったらあり得なかったと思います。

カヤックでのゲーム開発に興味ありませんか

もしこの記事を読んで、ハイパーカジュアルゲームの開発に興味を持ってくださった方がいましたら ぜひこちらからエントリーをお願いします!

www.kayac.com

面白法人カヤック意匠部では
一緒に働く仲間を募集しています

アートディレクターデザイナーデザインエンジニアグラフィッカーイラストレーター他